世界の糖尿病患者数が今後30年間で13億人に達することが新たな研究で判明

糖尿病とは、血液中に含まれるブドウ糖が増えてしまう病気であり、悪化すると合併症のリスクを高め様々な問題を引き起こす恐ろしい病気です。

そんななか、大学の研究者チームは、今後30年間の間に糖尿病患者が2倍以上のペースで増え続け、205年までに13億人に達することを予測しました。

研究チームは、1990 年から 2021 年までの 204 の国と地域の糖尿病の有病率、障害、死亡の推定値を測るための 27,000 以上のデータを分析し、統合しました。

詳細は、2023年6月22日付で科学雑誌『The Lancet』に掲載されています。

要点

・2050年までに世界の糖尿病患者数が合計13億人に達することが予想されている

糖尿病患者の凄まじい増加

研究チームは、1990 年から 2021 年までの 204 の国と地域の糖尿病の有病率、障害、死亡の推定値を測るための 27,000 以上のデータを分析し統合しました。社会人口学的要因と肥満を考慮したモデリング ツールを使用して、糖尿病の有病率を 2050 年まで予測しました。

結果、世界で糖尿病を抱える人の数が、今後 30 年間で 2 倍以上のペースで増加し、2050 年までに合計 13 億人に達するというデータが得られました。

この予想では、2050年までにどの国でも糖尿病患者が増加すると予想されています。北アフリカ、中東、太平洋の島国など、最も大きな打撃を受けると予想される地域では、このままいけば、2050年には5人に1人もの人が糖尿病を抱えて暮らす可能性がある国もあります。

糖尿病には1 型糖尿病と 2 型糖尿病がありますが、2 型糖尿病は、予防可能な疾患とされています。しかし今後 30 年の間に新たに糖尿病患者となる人の大多数は 2 型であると予測されています。主な要因は、高齢化と肥満の増加であると予想されていますが、2021 年では、肥満が 2 型糖尿病の最も重要な危険因子であり、糖尿病による障害と死亡の半分以上が2型糖尿病によるものとなっています。

世界の糖尿病患者の増加数の状況と予測(Chart: The Conversation, CC-BY-ND  Source: Institute for Health Metrics and Evaluation, University of Washingtonのデータを元に作成)

この研究がなぜ重要なのか

糖尿病を抱えて生活している人は、虚血性心疾患や脳卒中などの他の病気を発症したり、視力喪失や足潰瘍などの合併症で死亡したりするリスクが大幅に上がります。医療制度の充実が必須ですが、しかしある研究によると、低・中所得国では包括的な糖尿病治療を受けられる糖尿病患者は 10 人に 1 人にも満たないことが判明しています。

豊富な研究から、糖尿病患者の増加の主な要因は加齢と肥満の 2 つであると考えられています。加齢に関しては、人は年齢を重ねるにつれて血糖値を調節する能力が変化するので、それが糖尿病の主な原因となるのです。

さらに、肥満率は今後も上昇し続けることが研究で示されています。肥満を解消していくような国家規模のプログラムはまだありません。

この肥満率の傾向を逆転させるには、健康的な食生活の維持と十分な運動とが必要となってきますが、果たして、2050年の未来はどうなるでしょうか。

参考文献

Global, regional, and national burden of diabetes from 1990 to 2021, with projections of prevalence to 2050: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2021
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(23)01301-6/fulltext

Global diabetes cases on pace to soar to 1.3 billion people in the next 3 decades, new study finds
https://theconversation.com/global-diabetes-cases-on-pace-to-soar-to-1-3-billion-people-in-the-next-3-decades-new-study-finds-208832